沖縄県立芸術大学美術工芸学部で絵画を専攻していた岩田智子さんは、現在、埼玉を拠点に制作している陶芸家。もともと土が持つ独特な「表情」が好きで、地面の土を切り出し、焼いて戻すといったインスタレーションなどもやっていたという。彼女の手びねりから生み出されるイッテンモノはまるで絵画の世界。美しい曲線と直線で構成されるのが特徴だ。そして一つ一つの作品への愛情が深いように感じる。黒い色一つとっても、複雑で深みのある黒である。道端の草花が好きで、さりげなく添えるだけで美しく、穏やかな気持ちになる花器も多い。飾り手カップは、中世の美しい装飾品のような持ち手だ。
さり気なく、美しく、そして深く。
そんな言葉が浮かんでくる岩田さんの作品を日常に取り入れると、自然と足元の植物や木漏れ日、土の中にある息吹に知らず知らずのうちに気がつくようになり、ささやかな豊かさを感じられるのです。人が作るものを人工物というけれど、人工物もまた自然の一部と思うことがしばしばある。
その人の手によって作られたものに普遍的な美を感じる。誰かの手によって繋がれていくアンティークのような存在。100年先に誰かの手元で大事にされるもの作り。これもまた究極的な環境貢献である。
プロフィール
岩田智子 IWATA TOMOKO
1977 埼玉県生まれ
2000 沖縄県立芸術大学美術工芸学部絵画専攻卒業
2006 常滑市立陶芸研究所修了、愛知県常滑市にて制作
2007 埼玉県行田市に制作の拠点を移し、現在に至。
GARB DOMINGO
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